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1.2.2.損益計算書を読み解く

投稿日:2019年10月5日 更新日:

前回は貸借対照表について説明をしました。

今回は、貸借対照表と対をなす損益計算書について説明していきます。

まず、損益計算書とは何か、再度Wikipediaからの引用で振り返ってみます。

企業のある一定期間における収益(revenue)と費用(expense)の状態を表すために、複式簿記で記録されたデータを集計することによって、貸借対照表などと同時に作成される。

「損益計算書」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年2月3日 (日) 02:40 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/損益計算書

収益と費用の状態を示し、その差額として利益が出てくる。これだけ見ると簡単ですね。

収益ー費用=利益

当たり前じゃないか、と思われることでしょう。

しかし、損益計算書が示すのは単なる差引収支ではありません。企業が、どの活動からどういった利益を上げているのか、段階的に見ることが出来る資料なのです。
そのことをご説明するのが今回の趣旨です。

 

 

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損益計算書は段階的に利益を示す

まず、これまでは貸借対照表との関係性や全体感を表すために下のような箱図で損益計算書を表現してきました。
損益計算書の箱図
しかし、今回は実際に企業が作成する損益計算書に近い、下記の表し方で説明していきます。

損益計算書サンプル

随分と形が変わりましたが、基本は変わりませんし、仕訳を切るときの貸借の考え方も同じです。

ただ、記載の方法が違うだけです。しかし、それこそが損益計算書の肝です。

 

 

損益計算書を構成する5つの段階

まず最初に、上で紹介した損益計算書を5つの段階に区切ります。
今回はこの5つの段階を順番に説明していきます。

損益計算書の5つの段階

 

 

売上高総利益は競争力の源泉

まず第一の段階、売上高総利益です。
損益計算書:売上総利益

総売上高ー売上原価=売上高総利益

となります。

売上原価とは

売上原価とは、売れたもの(サービスを含む)を生み出すために直接かかった費用のことです。

あくまでも、”売れたもの”にかかった費用ですから、まだ売れていないものについては計上しません

たとえば、仕入れた商品がまだ倉庫に残っている場合、その商品の仕入れにかかった費用は売上原価とは言わないわけです。
次の年か、再来年か、その商品が売れて初めて、仕入れにかかった費用は損益計算書の売上原価に計上されます。

売上総利益は企業の付加価値

売上総利益は、総売上高から売上原価を差し引いた金額です。

言い換えれば、他所から買ってき価格と、他所へ売るときの価格の差額です。
つまり、買ったものが(原材料や、商品)、売れるまでにどこまで値段が上がったか、ということです。

そして、その差額=その会社が持っている「価値をつける能力」の数値となります。

同じような商品を扱い、似たような仕入先から原料を買い付けているA社とB社があったとします。

損益計算書:売上総利益

このとき、例えば原価の総額は同じ6,000千円なのに、A社の売上高は10,000千円、B社の売上高は8,000千円だったとしましょう。
A社の売上高総利益は4,000千円、B社の売上高総利益は2,000千円となります。
つまり、同じ原材料を使ったとしても、A社は4,000千円分の価値を新たに生み出しているのに、B社は2,000千円しか価値を生み出せなかったわけです。

理由はいろいろ考えられるでしょう。

A社は従業員が高い技術を持っているので高品質な商品を生み出し、高い価格で販売できているのかもしれません。
B社が振興の会社で、A社に比べて知名度が劣っているから、市場シェアを奪うためにあえて低価格攻勢に出ているのかもしれません。
あるいは、A社はより高く売れる顧客や地域に関する情報を握っているのかもしれません。

何はともあれ、この数字だけを見れば、A社はB社の2倍もの”価値を生み出す力”を持っているわけです。
これはつまり、A社はB社よりも競争力が高いということです。

このように、売上高総利益を見れば企業の競争力を見ることが出来ます

営業利益は本業の能力

次に、営業利益です。
損益計算書:営業利益

営業利益=売上高総利益ー販売費及び一般管理費

販管費及び一般管理費とは

販売費及び一般管理費」(以下、販管費と言います)は売上原価と比べると聞きなれない単語かもしれません。

しかし、内容としてはそんなに難しくありません。
分かりやすく言えば、その企業が活動するのに必要な経費のことです。

商品の仕入・製造に直接かかる費用が売上原価、企業の活動に必要な費用が販管費です。
従業員の給料であったり、オフィスの地代家賃、研究開発費などが含まれます。

厳密にいえば、営業活動に必要な費用が販売費、企業の管理運営に必要な費用が一般管理費となっていますが、この両者は区別することが難しい費用も多く含まれていますので、基本的には販売費及び一般管理費としてまとめて表記してしまいます。

売上が減れば同時に減少する傾向の売上原価と比べて、販管費は会社の維持に恒常的に必要な費用が多いため、なかなかすぐには削減もできない点も特徴の一つです。

営業利益で企業の本質的な実力が図れる

営業利益は、売上高総利益からさらに販管費を差し引いた残額です。
つまり、会社が生み出した付加価値(売上高総利益)から、その会社が活動するのに必要な経費(販管費)を差し引いた金額であり、これがその会社の本質的な力を表します。
再び、A社とB社に登場してもらいましょう。

損益計算書:営業利益

たとえばA社の販管費が2,500千円でB社の販管費が1,000千円だとすると、営業利益は

  • A社:4,000千円ー2,500千円=1,500千円
  • B社:2,000千円ー1,000千円=1,000千円

となります。

売上高総利益までを見ると、A社はB社より倍の金額を稼いでおり、圧倒的に優位に見えました。
しかし、販管費はどうもA社のほうが余計にかかってしまっているようです。利益の差額は1.5倍まで縮んでしまいました。

なぜでしょう。

例えば、A社はブランディングのために多額の広告宣伝費を使っているのかもしれません。
あるいは、B社は極端に従業員数を少なく業務も効率化しており、人件費があまりかからない体質なのかもしれません。

いずれにしても、数字だけを見れば、B社のほうが会社の活動にお金がかかっていないわけです。

販管費は削減が難しい、という特徴を踏まえると、不況で売上が落ちてきた場合、A社のほうがダメージが大きいかもしれない、ということも読み取れます。

このように、営業利益を見れば、その会社が事業活動を通じて得ている利益の額を知ることができます。

経常利益は通常の能力

もうそろそろ損益計算書も終わりが見えてきました。
あと少し、お付き合いください。

さて、第三の段階は経常利益です。

これは、
損益計算書:経常利益

経常利益=営業利益+営業外収益ー営業外費用

となります。

営業外損益とは

営業外収益と営業外費用、これらはあわせて営業外損益とも呼ばれています。

営業外、と名の付く通り、これまでの売上・原価・販管費とは異なり、その会社本来の事業活動以外の活動で発生した収益と費用がここに含まれます。

例えば営業外収益には、受取利息や配当金、売買目的有価証券の評価損益や売却損益、不動産収入などが含まれます。

銀行や消費者金融業じゃない会社も、誰かにお金を貸したり銀行に預けたりして利息を受け取ります。
証券会社じゃない会社も、資産運用を目的に株の売買をして利息を受け取ります。
不動産賃貸業じゃない会社も、誰かに余っている土地や建物を貸して地代家賃を受け取ります。

こういった、本来の活動ではないところで、収益を得る機会は存在し、それらの営業外で発生した収益をまとめたのが、この営業外収益です。

営業外費用も同様です。借入金の利息や、社債の利息などが含まれています。

さて、上の例のところで、〇〇じゃない、と頭につけて例を出していたことに気づかれているでしょうか。
業種が異なれば営業外とみなされる範囲も変わる、という意味でこのような例を出しました。
利息だから、不動産収入だから、と字面だけを見て営業外損益に入れてしまってはいけません。
さきほども説明した通り、営業外損益に含まれるのは”その会社の事業の範囲外で発生した収益・費用”です。

これは、会社によって異なるということです。

銀行や消費者金融にとっては、誰かにお金を貸して利息を得ることはその会社の事業の範囲内です。
ですので、受取利息は総売上高に含めます。

不動産賃貸業にとっては、誰かに土地や建物を貸して地代家賃を受け取ることはその会社の事業の範囲内です。
ですので、不動産収益は総売上高に含めます。

このように、会社の事情によってケースバイケースで含まれてくるものが変わってきます。

その会社が何をしている会社なのか、それを踏まえて営業外損益は見るようにしましょう。

営業外損益は一定の間隔・頻度で発生すると見込まれるもの

その会社の事業の範囲外であれば、なんでも営業外損益として含まれるか、と言えばそうではありません。
もう一つ重要な基準として、その収益や費用が経常的に発生するか、ということです。

経常的、とは定期的に、一定の頻度や間隔で、という意味です。

つまり、営業外損益に含まれるのは特に事情がなければ毎年発生するであろうと見込まれる収益と費用です。
まれにしか発生しない、この一回しか起こらないだろうと思われるようなもの(災害で損失が出た、あるいは保険金を受け取った、など)は後述の特別損益に入れます。

経常利益が企業にとっての”普段”の実績

経常利益は、営業利益からその企業の事業外かつ定期的に発生する損益を足し引きした金額です。

つまり、その会社にとって平常運転をしているときの利益の額と言えます。

このように、経常利益を見れば、その企業にとって”普段”の実績はどれくらいなのか、を読み解くことが出来ます。

 

 

税引前当期純利益が今期の実績

いよいよ終わりが見えてきました。
第四の段階、税引前当期純利益について説明していきます。

損益計算書:税引前当期純利益

税引前当期純利益=経常利益+特別利益ー特別損失

これまでに、その企業にとっての本来の事業活動から得られる利益、通常の範囲内で発生する利益について見てきました。

最後に足し引きされるのは、特別利益と特別損失(あわせて特別損益と言います)です。

ここまでお読みいただいた方にはもう大体予想できると思いますが、これら特別損益は、本来の事業活動でもないし通常の範囲内でもない利益や損失が計上されます。

災害による損失や保険金の受取、取引先の倒産で被った損失など、その一年度に起こった特別な出来事で発生した損益を加味した税引前当期純利益こそが、その一年度での会社の成績と言えます。

税引前当期純利益を見る、特に経常利益との差額に注意してみることで、その会社にとって何か特別なことがこの一年間に起こっていなかったのか、それを読み解くことが出来ます。

 

 

当期純利益は納税後の手残り

最後は当期純利益です。

損益計算書:当期純利益

当期純利益=税引前当期純利益ー法人税等

読んで字のごとく、そして見たとおりに、得た利益に対してかけられた税金を差し引いた金額が当期純利益です。

これこそが、この一年間での会社などにとっての本当の利益額となります

なお、法人税等と一括りにしていますが、実際には法人税・住民税・事業税などが含まれています。
ですので、上場企業の損益計算書などを見ても、”法人税、住民税及び事業税等”と書かれていることが多いですね。
ここを読み解こうとすると、かなりマニアックな世界になってしまいますので、今回は割愛します。

皆様には、当期純利益が今期の最終的な利益額とだけご認識いただければと思います。

 

 

以上が損益計算書のざっくりとした解説になります。

次回以降、本格的に簿記について説明していきます。

 

 

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