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1.2.1.貸借対照表を読み解く

投稿日:2019年10月2日 更新日:

今回は財務諸表の一つ、貸借対照表について説明していきます。

貸借対照表と損益計算書については、前回も軽く説明はしましたが、再度Wikipediaから貸借対照表について引用しておきます。

貸借対照表は、企業のある一定時点における資産、負債、純資産の状態を表すために複式簿記と呼ばれる手法により損益計算書などと同時に作成され、その企業の株主、債権者その他利害関係者に経営状態に関する情報を提供する。

「貸借対照表」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年7月27日 (土) 10:06 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/貸借対照表

貸借対照表は、主にどこから来た(自己が出資したもしくは稼いだ、または他者から借りた)資本を、どういう形で運用している(持っている)のかを表します。
貸借対照表の箱図

 

 

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貸借対照表を見ることで資本の運用形態と調達源泉が分かる

繰り返しになりますが、貸借対照表が示すのは、資本の運用形態と調達源泉です。

貸借対照表の箱図

運用形態とはすなわち資産であり、調達源泉とはすなわち負債及び純資産です。

 

運用形態とは資産である

まず、運用形態である資産についてより詳しく見ていきます。

会社に帰属し、貨幣を尺度とする評価が可能で、かつ将来的に会社に収益をもたらすことが期待される経済的価値のことをいう。

「資産」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2019年1月19日 (土) 00:26 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/資産

経済的価値、とは単純な換金性に限らない、広い意味での価値ということです。

いくつか、具体的な例を見ていきます。

換金性がある

そのままずばり、現預金や即座に換金可能なものです。
具体的には、現預金、売掛金、貸付金などが該当するでしょう。

  • 現預金……現金、預金、受取小切手など
  • 売掛金……分かりやすく言い換えれば”ツケ”です。掛け取引で販売・サービス提供した場合に、その対価を受け取る権利(債権)のことです。都度都度代金を払ったり受け取ったりしていると大変だから、(例えば)一か月分をまとめて支払ってね、という条件で取引することを掛け取引と言います。
  • 貸付金……読んで字のごとく、貸しているお金です

売掛金、貸付金などは(焦げ付いて回収できなくなる可能性もないではないですが)基本的に期限が来れば回収し、現預金になるものです。
こういったものは基本的には額面そのままの金額が貸借対照表に計上されます。

生産等によって収益に貢献する

それ自体を換金するのではなく、その資産を利用して収益を得ることを期待されているものについても、資産として認識されます。
土地、建物、機械設備等がここに含まれます。
また、開業費や創業費などの繰延資産と呼ばれるものも存在します。

今後、サービスや財貨の提供を受ける権利である

お金は払ったけれど、その対価としての財貨やサービスは将来的に受けるもの(前払費用)、あるいは財貨やサービスを提供したけれどまだお金をもらっていない(未収金)などが該当します。

  • 前払費用……数年分の費用を前払いしたときなど、お金は一度に支払ったけれど、その対価は将来的に受け取っていく場合などは、資産として考えます。例えば、3年分の清掃費用を前払いしたときなど、すでに清掃をしてもらっている期間の分は費用として処理しますが、来年・再来年分の「掃除してもらう権利」は資産として計上します。
  • 未収金……商品は渡した、あるいはサービスは提供したものの、まだその代金を受け取っていない場合に計上されます。

未収金は回収されたときに現預金などの資産になりますし、前払費用はその期間分のサービスを受け取ったときなどに費用となる点にご注意ください。

 

調達源泉とは負債・純資産である

続いて、調達源泉である負債と純資産についてそれぞれ説明していきます。

負債と純資産の違いは、基本的には「他人から出してもらった」のか「自分で出したのか」、言い換えれば返す必要があるかどうかということです。

負債とは他者資本である

負債はいずれ誰かに金銭などの経済的資源を引き渡す義務、として契約や法によって定まっているものです。

将来的に、他の経済主体に対して、金銭などの経済的資源を引き渡す義務のこと

「負債」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2017年11月16日 (木) 13:07 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/負債

ここに含まれるのは、借入金だけではありません。

いくつか代表的なものを紹介します。概念的に資産の項目で説明した科目と対応するものが多いので、説明は簡便にしています。

  • 買掛金……掛け取引で商品を仕入れた場合に、その対価を支払う義務(債務)です。
  • 未払費用……すでにサービスを受け取ったけれど、まだその対価を支払っていない分です。
  • 前受金……まだ商品やサービスを提供していないけれど、対価あるいはその一部(手付金など)を受け取っている分です。将来的に商品やサービスを提供する義務(債務)です。

このほか、社債や資産除去債務などもここに含まれますが、やや難しい内容になりますので今回は割愛します。

 

純資産とは自己資本である

純資産は自分で用意した、そして自分でこれまで得た利益を貯蓄(留保)してきた金額であり、他者に返済する義務を負わないものです。
大きく分けると自己資本、準備金、剰余金がここに含まれます。

  • 自己資本……出資金や資本金など、開業にあたって出資したお金や、株式の新規発行で調達した資金です。
  • 準備金……将来、大きな損失が(ある程度確実に)発生すると見込まれる場合に、積み立てておく金額です。
  • 剰余金……これまで得てきた利益の貯蓄分です。

このほか、「その他評価差額金」などの勘定も含まれますが、やはり高度な内容になりますので今回は割愛します。

 

 

資産と負債には流動と固定の区分がある

さて、ここまで貸借対照表の中身の大きな区分について説明してきましたが、このうち資産と負債についてはもう一段下位の区分がありますので、そちらについても説明しておきます。

流動固定の区分です。

資産には流動資産と固定資産があり、負債には流動負債と固定負債があるということです。

この、流動と固定の区分を分ける基準は2つあります。
正常営業循環基準」と「1年基準」です。
分かりやすい1年基準から説明していきます。

1年基準

読んで字のごとく、1年以内に入金予定であったり、支払い予定であるか否かによって分類するという基準です。
後述の正常営業循環基準で分類した上で、正常営業循環基準に当てはまらないものについては、期間を基準として流動か固定化を判断しようという基準となっています。
満期日が数年後の定期預金であったり、回収や返済が数年後である貸付金・借入金などがこの基準で固定資産・固定負債となります。

正常営業循環基準

少しややこしいので、まずはWikipediaを見てみましょう。

この基準は、正常な営業取引の過程にある資産・負債は流動資産(流動負債)とみなすというルールで、資産・負債はまずこの基準で分類し、その次にもう一つのルールである一年基準で分類する。

「正常営業循環基準」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2015年1月1日 (木) 00:45 UTC、URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/正常営業循環基準

正常な営業取引、という用語が聞きなれない言葉だと思います。
これは、その会社や個人事業にとって、その事業目的(卸売や小売、製造販売などですね)に合致する取引か否か、という感じで考えればよいでしょう。

例えば、商品や原材料の在庫、その売上・仕入に関わる売掛金・買掛金や手形などは、正常な営業取引に関わる資産・負債ですので、流動資産・流動負債ということになります。

一方で、正常な営業取引の範囲は会社・事業によって異なる点に注意が必要です。

例えば、工場を運営する会社にとって、土地や建物はそれ自体を取引するために所有するのではなく、それを利活用して物を生産するために所有しています。ですので、土地・建物は流動資産となります。
では、不動産仲介業を営む会社にとってはどうでしょうか?
その会社の事務所を構えている土地や建物は、もちろんそれ自体を取引するために所有しているわけではありませんから、同様に固定資産です。しかし、販売するために持っている土地や建物については、”正常な営業取引の過程にある”ため、在庫として流動資産に計上されます。

 

 

いくつかの指標で財務の健全さが(ある程度は)分かる

ここまで、貸借対照表の基本について説明してきました。
ここからは、少し発展的な内容として、実際に貸借対照表を見るときに参考となる視点・指標を紹介していきます。
今回はあくまで代表的なものをいくつかピックアップして紹介させてもらいます

 

流動比率

流動比率は、流動資産と流動負債の比率を示すものです。
おおよそ一年以内に現金化できる資産や現金が、おおよそ一年以内に返済しなくてはいけない負債に対してどれくらいあるかを示す指標となっています。

流動比率の計算

この指標は基本的には高いほど良いとされています。

この比率が100%以下だと、一年以内に返さないといけないお金が、一年以内に準備できるお金より多い、と解釈できます。
つまり、どうにかしてお金を調達しないと、返済ができなくなる可能性があるよ、と読み取れるわけですから、大事な指標ですね。

類似の比率に、当座比率があります。こちらは、当座資産(現預金・受取手形・売掛金・売買目的有価証券など、短期間・かつほぼ確実に現金化できる資産)が流動比率に対してどれくらいあるかを示すものです。この当座比率が100%を超えていれば、万が一会社の事業が止まってしまっても、1年以内に返さなくてはいけないお金くらいは手許に用意できる、と解釈することができます。

 

自己資本比率

自己資本比率は、負債・純資産合計に対して自己資本(純資産)が何割を占めているかを示すものです。
負債・純資産の合計とはつまり、貸借対照表の右側、「どこから資本を調達したか」を説明する部分です。このうちに純資産が占める割合とはつまり、会社等が運用している資本のうち何割が自前で用意した=返す必要がないか、ということです。

自己資本比率の計算

一般的には、この比率は高いほうがいいとされています。

仮に自己資本比率が100%であれば、誰かにお金を返す心配もない、というわけです。

ただし、これも場合によりけりです。
「すごく儲かっていて、借金をしても返す見込みが立っている。借金をしてでも勢いに乗って事業を拡大したほうが良い」というときには思い切って借り入れを増やす=自己資本比率を下げることも経営上の判断としては存在します。こういう場合には、自己資本比率が低いから危ない、とは一概には言い切れないわけです。
その会社等がどういった状態にあるのか、数字だけでは見えない部分も含めて考えなくてはいけない指標です。

 

長期固定適合率

最後に紹介するのは長期固定適合率です。
こちらは最初に式を紹介しましょう

長期固定適合率の計算

この指標が意味するのは、「固定資産」を運用形態とする資本に対して「固定負債」「純資産」を調達源泉とする資本がどの程度の割合か、ということです。
長期的にしか回収できない重たい資産を、どれだけ長期的な資本で調達できているか、と言い換えてもいいでしょう。

一般的には、高いほうが良いとされています。

長期固定適合率が低い、とはすぐには現金化が見込めない固定資産が多いわりに、すぐに返さなくてはいけない流動負債が多い、ということです。
流動比率が低い、と意味は同じです。
長期固定適合率が高い、はその逆で、流動比率が高い、と同じ意味になります。

 

 

以上が貸借対照表のざっくりとした解説になります。

次回は、損益計算書について説明していきます。

 

 

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次>> 1.2.2.損益計算書を読み解く

 

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